奈央と出会えたから。<280>

麻呂  2008-11-22投稿
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『奈央。これ、聖人君に着てもらって。』



母は、何やらタンスの中から洋服を取り出し、あたしに手渡した。



手渡されたモノを見て、あたしは驚いた。



『お母さん、これって男物じゃん?!

どうして家に男物の服なんてあるの?!』



『こういう時の為に、用意しておいたのよ。』



お母さんてば凄いっっ。



そこまで、あたし達のコト、



考えてくれてたなんて――



『お母さん‥‥ありがとう。』



あたしと、



聖人のコト――



認めてくれてるってコトだよね――



『ふふ‥‥。何言ってるの、このコは。
それより、聖人君、制服着たまま寝ちゃってるから、起きたらその服に着替えてもらってね。』



『うん。そうする。』



あたしが母の寝室を出て、



再び、リビングのソファーの上で眠る聖人の所へ戻ると、



『奈‥‥央‥‥‥?!』



ちょうど、



聖人が目を覚ました所だった。



『あは。聖人、おはよう。』



『ん‥‥。もしかして俺、すげぇ爆睡しちゃってた?!』



『うん。凄い気持ち良さそうに寝息立ててたよ。』



『マジで‥‥?!

昨日、京谷と青山の件で振り回されたから、疲れてたのかな‥‥。』



『そだね。あ‥今日は学校休みだし、ゆっくりしてってと母が言ってた。

あと、ルームウェアを用意してくれたから、コレに着替えていいよ。』



聖人は、まだまだ眠そうな目つきで、



リビングの壁に掛けてある時計を見て、時間を確認したかと思うと、



突然、慌てた様子でソファーから立ち上がった。



『マジ?!もう朝じゃん?!俺、帰るわ。』



『そんな、慌てて帰らなくてもいいじゃん。母も、ゆっくりしてってと言ってるし。

もう少し、寝てけば?!眠そうだよ?!』



『いや。やっぱ帰るわ。あ、奈央の母さんに挨拶してかねぇとな‥‥。起きてるかな?!』



『うん。起きてるケド‥‥。

ちょっと待ってて。呼んで来るから。』


あたしが再び母の寝室へ行こうとすると、



『あら〜〜!!

聖人君、いらっしゃ〜〜い!!』



あたしが呼ぶまでもなく、



母の方から、満面の笑みで登場してくれた。



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