悠は中学からの…、いや、俺が柔道をやり始める前だから小学校からの付き合いだ。
さっきの言葉通りこいつも柔道部だ。
小柄だが、スピードもセンスもあって中学時代は県でもトップクラスだった。
だからもちろんのこと、推薦をいくつももらってた。
そいつがなんで俺と同じ学校にいるのか。
それは『修二だけ一人進学校じゃ寂しいだろ?』だった。
余計なお世話だ。
「そぉいえばさ」
悠が唐突に言った。
「今年は一年どんだけ入るだろ?」
「そんなのわかんねぇよ。第一、うちは一応進学校だぜ。そんないい選手入ってこねぇだろ。」
俺たちの学校はそこまで偏差値は高くないが、なかなかの進学校だ。だから勉強ができるやつはよく入ってくるが、スポーツマンは滅多に入ってこない。
「でも去年は俺たち以外に賢ちゃん入ってきたじゃん。」
「そりゃそぉだけどさ、賢之助みたいなやつが毎年くるわけねぇって。」
「そぉかなぁ。」
ちょっとしょんぼりしながら悠は言った。
そのうちに道場に着いた。
「おせぇよ。」
道場から声がした。