引導を渡された者と渡した者…。
古来からこの因縁めいた関係にあるもの達は基本的に二度と再び交わることはない。
しかし、今ここにだけ例外は存在する。
スティングアーの大群の中で対峙した二機のストライカー。
ある者は怒りに震え、またある者は『倒した』という既成事実が覆された事に驚愕していた。
ダークフィアーのパイロットであるバルト・ガイラーは眼の前にいるストライカー『武双龍焔獄』を確実に捉えながらも心では動揺していた。
ガイラー(それにしても何故…奴は生きているんだ?奴は超重力攻撃で跡形も無くこの世から消したはず…それなのに…)
マクシミリアンはガイラーの動揺ぶりを既に把握していた。
マクシミリアン「当然だ…。貴様は俺に勝利した。それは紛れのない事実だ。しかし!!」
武双龍焔獄は翼を広げると素早くダークフィアーに切り掛かった。
マクシミリアン「おまえはあの重力攻撃に一喜一憂し俺の生死は疎か、俺の機体の残骸すら確認しなかった…そして俺は生き残った…僅かに攻撃が逸れた事でな!!」
武双龍焔獄は自らを取り囲むように近付くスティングアーの群れを薙刀『龍刃』で一掃すると一気にダークフィアーの間合いに飛び込んで行った。
マクシミリアン「お前は自身の余裕で身を滅ぼす事を知れ!!」
武双龍焔獄は龍刃を一気に振り下ろし、先にプラズマシールドを展開したダークフィアーをシールドの上から思い切り叩いた。
接触時に電流が発生しそのエネルギーが周囲の空気に放散した。
ガイラー「(確かに…あの時はブラッドサンシャインを完全な支配下に置いていなかった)ならば今一度、貴様とその旧大戦の遺物を葬り去ってやる!!」
そう吐き捨てるガイラーに呼応するかの如くダークフィアーは武双龍焔獄を弾き飛ばし、腰に携えたダブルチェーンソーを右手に構えた。
その様子を見ていたマクシミリアンは口元に微かな笑みを含んだ。
マクシミリアン「悪いが…次の勝ちは無いと思えよ…」
ガイラーの頬に一筋の汗が伝っていた。