ロストクロニクル3―17

五十嵐時  2008-11-22投稿
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「なんて魔力だ」
タクトはその火柱を見てただただそう思うだけだった。
「おい、フラット、今自分が何をしたのか分かってるのか!」
ウェドが倒れているタクトとシャープを下に見ながら、フラットに怒鳴った。
「あなたたちが、邪魔したからですよ」
フラットの声はどこか震えていた。
「フラット、まだ今なら止めれるわ。さぁ、その石を手離して」
パールも必死に説得を始めた。
「ここならムシもいないぞ」
「いや〜やっと安心できるな〜」
村人たちがムシの襲撃から逃れてきたようだ。
「もう、遅いんですよ」
フラットはこちらにやってくる村人たちの方を見ていた。
「フラ、止めて!」
シャープが立ち上がり、叫んだ。
フラットは杖を村人たちに向け、炎の柱を放った。
「なんだ!」
「うわー!」
村人たちに容赦無く炎が放たれる。
「こんな村、もう要らないや」
炎が今度は魔導師たちの家々へと向けられた。村が一瞬の内に炎の海と化した。
「なんてこと・・・」
シャープは手のひらに顔をうずめ、膝から崩れ落ちてしまった。
「あっ、ミューク!」
ウェドが指さした先からミュークが走って来た。
「止めろ!」
ミュークは来て早々、手のひらから大量の水をフラットに浴びせた。
フラットの放火が止んだ。
「ミューク校長先生、邪魔しないでください」
物静かで哀しそうな声だ。
「分かってるのか!君は今、取り返しのつかないことをしているんだぞ」
ミュークの激が飛ぶ。
「魔導石って左手に持ってるあれかな?」
タクトがフラットの左手にある、拳大の丸い形で紅く輝く石を見つけた。
「すみません。でも、邪魔をしないでください」
フラットは相変わらずの口調で返すと、杖をミュークに向けた。
「何するを気だ!」
「すみません。邪魔な人は復讐の対象なんです」
フラットの火柱が飛ぶ。その火をミュークは水柱で受け止めた。炎と水が激しくぶつかりあっている。
あれ?ミュークさん少しおかしいような・・・
「可哀想なフラット・・・助けてあげないと・・・」
パールが独り言を漏らした。 ウェドはミュークと交戦中のフラットに近づき、腹をハンマーで叩きつけた。
「うっ」
フラットは座り込んだ。
「魔導石よ・・・力を」
魔導石を強く握り締めた。



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