有紀は静かに霊安室の扉を開けた。
カッ..チャ
中は無機質で一面灰色の空間が目の前に広がった
隅に置かれているベッドの白だけが一際目立つ。そのベッドにゆっくりと近付いていく有紀。
顔には布が掛けられている。
布に手を掛ける。
《和彦さん...》
有紀はソッと布をめくった。
「あぁうそ....どうして..どうしてなのカズヒコさん...わぁぁ―――!」
有紀は床に崩れ落ちる
ひとしきり泣いた。
どれ位か、しばらくして放心状態の有紀が霊安室から出てきた。
すると霊安室前のベンチに座っていた男が立ち上がり有紀に声を掛けた。
「あの―すみません..宮沢有紀さん..でしょうか?..」
「え?..ハイ..」
「……警察署の加藤と申します」