どれくらいの時間が経ったのだろうか?
秒針の進みが1日周期かと感じるほど時の進みが遅い。
しかし、今回ばかりは時は何も解決してはくれない。
彩は俺の答えを待っているのだ。
思いきって口を開いた。
「俺は彩の事が好きだ。本当に好きだ。でも彼氏がいるって知ってたから言えなかった。」
言ってしまった。
友達のままいられると考えていたが、それが甘い事だと言ってから気付いた。
なぜ天国と地獄は手をつないでやってきたのか?
お前らそんなに仲良しか?
ぁぁぁ。時を戻せるなら戻したい。
この重い空気をなんとかしたい。
神様ヘルプ!!!
ぎぶみータイムマシン。
そんな事を考える間もなく、彩も口を開いた。
「彼氏がいるって、そんなに重要?彩も悟くんの事が好きだよ。」
マジか!?
遂に俺にも春が来た!
ついうっかり夜を徹して踊り狂いそうな程に喜ぶ俺に彩は続けた。
「…でも、隆の事も好きなんだよね…」
成る程。そうきたか。
世界の半分を竜王にもらったら闇の世界だった、みたいな気分になりながら、心の中のサンバ隊を撤収させる。
「でも俺をそう見てくれただけでも嬉しいよ。」
「違うの!」
彩は甘えたような、許しを乞うような顔で話を続ける。
「隆は好きって言うよりも、嫌いではないの。4年も付き合ってるし。でもね、悟くんは自分でもすごく好きになってるってわかっちゃうの。もし彩の事を好きでいてくれるなら気持ちの整理がつくまで一緒にいてくれる?他に好きな人ができたら言ってくれればいいから…。」
もうなんだかわからなくなってきた。
ただ彩の「俺が好き」って言葉に淡い期待を持ちながら、彩の全てを受け入れる事にした。
毒は少しずつ、しかし確実にお互いを蝕んでいた…