「火葬が良かったですか…？」
「そういう問題じゃねぇ！てか何でこの歳で自分の葬式について考えなきゃならねぇんだよ！」
「…転ばぬ先の杖」
「まだ当分転ぶ気ねぇよ！」
「ならば今から…」
「ち、ちょっと待て！何改めてナイフ構えてんだよ！」
「転ばせようと…」
「やめてくれ！」
「…断る」
「えぇぇぇぇっ！？」
断られちゃった！
「…………」
「……？」
…ん？
「…どうした、急に黙って」
「…分からない」
「分からない？…何が？」
「貴方」
「俺？」
「はい」
「ええと…それは俺の言語能力に何か不都合な部分でもあったって事でございましょうか…？」
「違う…」
「違う？じゃあ…」
「例え話」
「へ？」
「あるところに…逃げる一羽の兎と追い掛ける一匹の狼が居ました…」
「…」
「狼は兎を追い詰めますが…ある不運な出来事により動くことが出来なくなってしまいました…」
「…」
「ここで問題…。…この兎は…この後どうしたと思う…？」
「？いや、そりゃこれ幸いって感じで逃げるだろ…」
「ハズレ…」
「違うのか？」
そう聞くと彼女は頷きこう述べた。
「その兎は…助けたんです…その狼を…」
続
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