「提供してくれたのはありがたいけどねェ。
我々の方で勝手に処分してくれなんて言われても、困るんだけどね」
「どうします?
調査が終わったら、処分しますか?」
「エリザベスをバーソロン会長に渡す時、ついでに引き取ってもらおう。
よろしいですかなヒース助教授?」
ジックリと人形を観察しながら、ヒース助教授は答える。
「ええ、イイですよ」
「宜しい。じゃあマーティ巡査、バーソロン会長にローズマリーの事を伝えておいてくれ」
「分かりました」
マーティ巡査は敬礼して、部屋を出て行った。
一通りの採寸やチェックが終わると、ヒース助教授はケースの扉を閉めた。
器具の整理をしながら、ヒース助教授は言う。
「このローズマリーって言う人形も、動くんですかネェ?」
モグレは人形を見入りながら…
「まさかァ、そんな事はないだろう?」
「でも,持ち主の人が薄気味悪いって言ってたんでしょう?」
「そうだけど…、どうなんだろうなァ?
助教授はどう、思われる?」
「物理学者として、そんな非科学的な事は信じませんけどネェ」
「でも、あの…バラバラになった方は動いた」
「あの人形の方だけが特殊なのでしょう。
何故動いたのか、もう少し徹底的に調べないと分かりませんけどネ」
「研究結果を期待してますよ」
時計を見るヒース助教授。
「警部、今日これで部屋を閉めたいと思いますので」
「ああどうぞ。私も失礼しようと思ってましたから」
部屋を出る2人。
ヒース助教授は電気を消し、扉を閉めた。
この時…
ローズマリーの鋭い視線が…
2人に向いていた。