「助け…た?何で?」
「…」
無言…か…。
…えーと…今ここで逃げ出せば兎は高い確率で生き残ることが出来て…。
…でもその兎は逃げるどころかその狼を助けた…。
死ぬかもしれないのに…。
…この兎は何を思ったか…?
助ける、助けない、救うこと、救わないこと、望むこと、望まないこと、哀れみ、怯え、投影…。
追う存在、追われる存在…。
「…てことは」
つまるところは心の問題って訳で。
「…そうか」
自分だと嫌だから…。
助からないのは嫌だから…。
見捨てられるのは嫌だから…。
だから…。
「その兎は重ねたって事かな」
「…?」
自己投影。
自分自身とその狼を。
自分がこうなった時誰にも助けてもらえないのは辛いから…。
もし自分が今助けたらこの狼も自分が困った時助けてくれるんではないかと打算的な計算でもして。
「まぁ、大抵こういう奴はその助けた奴に仇返しされるってのが関の山だろうけどな」
「…」
「正解?」
「…」
「ハズレ?」
「…分かりません」
「?じゃあ答えって…」
「貴方も…」
「ん?」
「この兎と同じなんですか…?」
「…同じ?何が?」
「…私を…助けた理由です」
「理由?」
続