奈央と出会えたから。<283>

麻呂  2008-11-25投稿
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聖人が母にそう言うと、



母は、その言葉の意味を理解するのに少しの間、考え込んだ表情をしていたケド、



『‥‥‥そんなコトないわよ。

でも、聖人君のお父さん、凄くステキな方だと思うわよ。

いつも、職場の方達を連れて、お弁当を買いに来てくださるのよ。

聖人君、お父さんによろしくお伝えしてちょうだいね。』



あたし達の期待する答えは当然、返って来る筈もなく――



そう言って、うまくかわされてしまったんだ。



『はいはい。聖人君。朝ごはんしっかり食べていってよ〜〜!!

奈央。ちょっと手伝ってちょうだい。

先に、聖人君にコーヒー入れてあげて。』



『う‥‥うんっっ。』



お母さん――



昨夜も夜遅くにスナックの仕事から帰って来たのに、



あたし達の為に、



こんなに気を遣ってくれて、



ありがとう――



あたしの為だけではなく、



あたしの大好きなヒトの為にまで――



お母さん――



聖人のお父さんのコト、



どう思っているのかな――



聖人のお父さんは、


多分、お母さんに好意を持っているよね。



いつも“女”である前に、



“母”であってくれたお母さん。



あたしのコトを第一に考えてくれたお母さん。



そんなお母さんに、


あたしは、いつも感謝しているよ。



でも――



本当に心から好きなヒトに出会えたトキは――



そのトキは――



あたしに――



あたしに絶対言ってよね――



毎日本当にありがとう――



大好きな‥‥



お母さん‥‥‥。

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