「柚希ちゃん…」
「あ、ハイ」
「ありがとね…」
雄介のお母さんは、ハンカチを目に当ててあたしに言った。
「何でそんなこと言うんですか…?」
「雄介はね、後数ヵ月しか生きられないのよ…」
「…えっ?だってさっきそんなこと…」
「雄介に知られると、悲しむでしょ?」
―…後数ヵ月しか生きられない…―\r
その言葉を聞いた時、
やっぱり涙があふれた。
嘘だよね?
後数ヵ月なんて
ありえないよね?
…何で言ってくれなかったんだろう。
雄介の体は、もぅ知ってたのに。
雄介はガンと知らなくても、きっと分かってたハズなのに。
自分の体に異変があることなんて、分かってたよね?
気付かなくて、ごめんね。
でもね、きっと分かっててもあたしに言えなかったよね。
悲しむからって
泣くからって
言わなかったよね。
優しすぎるんだよ。
病院を出て、あたしは最初に街を歩いた。
ここのマックで、雄介とあたしと瑠璃と亜矢と桂と亮で喋ったっけ。
ここのアクセサリーショップで、雄介とあたしの名前が入ったペアリングを作ってもらったっけ。
そんなことを考えてるたびに、街の中心にあるクリスマスツリーに着いた。
「そういえば、約束したよね…」
クリスマスの日は、一緒にクリスマスツリーを見に行こうって。
約束、守ろうね。
ここに来ようね。