5年前の夏､不思議な経験をした｡決して忘れる事のできない夏の思い出｡
僕の名前は雄介｡歳は23歳､電気工事の請け負いをやっている｡
訳あって地元からは出ているが､友達にも恵まれそれなりに楽しく毎日を過ごしている｡
その友達達も各々結婚していたり彼女と仲良かったりとなかなか幸せなｸﾞﾙｰﾌﾟだと思う｡
そんな中僕が他のみんなと違う事は僕のそういった人に旦那と子供がいる事｡世間的には不倫という事になる｡
出会いは4年前の春､僕がﾊﾞｰﾃﾝﾀﾞｰのﾊﾞｲﾄをしていた時にその人が友達と飲みにきた事から始まった｡
その人を初めて見た時の率直な気持ちは
｢めちゃめちゃ綺麗な人だなぁ…｣
ただその時は友達と一緒だった上子供も連れて来てたしﾎﾞｯｸｽ席に座ったので殆ど会話をする事もなかった｡
しかしその5日後｡一人の客がきた｡
｢いらっしゃいませ｡｣
｢こんばんわ!｣
あっ!
あの綺麗な人だった｡
僕の正面に座りｶｸﾃﾙを頼んだその人は間近で見ると本当に綺麗だった｡
｢本当に綺麗だな…ｵﾚには一生縁のないﾚﾍﾞﾙだなっ!まあその前に人妻か…｡｣
その日その人は僕と少し世間話をして帰っていった｡
それからその人は週1くらいでちょくちょく店に来るようになった｡
たまに友達と来るが来るときはだいたい1人｡子供がおばあちゃんの家に泊まりに行く日に飲みにきてると言う｡
歳は僕の3つ上22歳､名前は優美と言った｡聞けば旦那は遊んでばかりで午前様は当たり前らしかったが特に愚痴を言う訳でもなく淡々と飲んでいた｡
それだけ綺麗なだけあって他の客からしょっちゅう声をかけられていたがどれも慣れている感じでうまくはぐらかしていた｡
それでも何度か飲みにきてくれているうちに僕らは仲良くなり色々な相談をしあう仲になっていた｡
程なくして僕はﾊﾞｲﾄを辞めたが､その後も僕と優美はﾒｰﾙや電話で悩み事を打ち明けたり楽しく話をしたりをして引き続き仲良くしていた｡
旦那さんに対する後ろめたさがなかった訳ではない､ただ本当に下心はなかったし若さもあり楽しかったのでその関係を続けていた｡
優美の趣味はお菓子を作る事｡それもあって作ったお菓子をたまに家まで届けてくれたりするようになり､来てくれた時は外で1時間くらいなんでもない話をして､僕はその時間が楽しくて好きだった｡
2人で話をしている時の優美は普段のかっこいい感じとは違い､本当に素直な気持ちを全て話してくれたし時に私生活の悩みなどで涙を流す事さえあった｡
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