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それからの数日間は何事もなく、
平穏な日々が静かに通り過ぎていったんだ。
そんな、ある日のお昼休みのコト――
あたしが青山さんに呼び出されたあの日から、
気のせいか、
廊下を歩くと、やけに嫌な視線が突き刺さった。
『ねぇ奈央。この前の青山の一件。
結局、聖人はわざと青山にハメられた振りをしてたワケでしょ?!』
『うん。』
ユカのその一言に、
あたしは青山さんの一件が、
決してこれで解決したワケではないのだというコトを、
改めて思い知らされた気がした。
『青山、結構しつこいから。気をつけた方がいいね。
アイツのコトだから、また何か仕掛けて来ると思うよ。』
『そうだよね。あたしも、ずっとそのコトを考えてて、何だか落ち着かなくて。』
胸さわぎがする――
これから何か良くないコトが起きそうな――
『でも、あたしとしては安心したよ。
聖人が図書室で3年の女と抱き合ってたのは、青山の仕業だったと聞いてさ。
まぁ、聖人に限って‥‥とは思ったんだケドね!!
あれ?!あたし調子良過ぎ?!
あはははは。』
『そんなコトないよ。ユカは、あたしのコト思って、色々考えてくれたじゃん。
嬉しかったよ!!
ありがとう。
それに‥‥
あたしだって、聖人が、あんなに女のコに人気があったなんて‥‥知らなかったから。
やっぱ、不安になるし‥‥。
あたしが、そういう風に不安なキモチになるのって、
よく考えたら、それって聖人に対して失礼なコトじゃん‥‥。』
恋に不安は付きモノだなんて、
一体誰が初めに言ったんだろう――
そんな不安なキモチを乗り越えたトキにこそ、
きっと、最高なハッピーにたどり着けるんだろうな。
はぁ‥‥人を好きになるのって‥‥
苦しくて‥‥
切なすぎるよ‥‥‥。