「どうしよう…もう豪華賞品なくちゃったよぉ」
ミユキがマモルの袖をつかんだ。
「ティッシュ要らねぇよ」
マモルは投げやりになっていた。
ついに抽選はマモルの番となった。
スタッフの男がマモルに話し掛ける。
「サァーお兄ちゃん!次は何が出るかな〜?何が出るかな〜?」
――さっきから繰り返し、ウザい。
…マモルは思った。
「今から玉の色について、説明しまーす!1等は赤、2等は青、3等は緑…」
――もう無ぇよ!!
マモルは、今にも声に出して叫びたくなった。
男は続ける。
「そして4等は、白」
――はいはい。
マモルはもう、どうでも良かった。
「ハイ!それでは張り切ってイキましょう!回して回して〜」
男はマモルをうながした。
「俺はいいよ。ミユキ回して」
そう言ってマモルは、後ろにいたミユキを前に引っ張り出した。
「いいの?回しちゃうよ?」
ミユキは、顔はマモルを見つめながらも、手はしっかりと抽選箱のハンドルを握っており、やる気満々だった。
マモルがうなずくと、ミユキは勢いよく抽選箱を回した。
そして中からポトリと、玉が落ちた。
白い玉だった。
「あ」
男はしばらく無言でその玉を見つめた。そして今度は、大きな声で騒ぎ出した。