ハーフムーン (28)

 2008-11-28投稿
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「どうしよう…もう豪華賞品なくちゃったよぉ」
ミユキがマモルの袖をつかんだ。

「ティッシュ要らねぇよ」
マモルは投げやりになっていた。

ついに抽選はマモルの番となった。

スタッフの男がマモルに話し掛ける。
「サァーお兄ちゃん!次は何が出るかな〜?何が出るかな〜?」

――さっきから繰り返し、ウザい。
…マモルは思った。

「今から玉の色について、説明しまーす!1等は赤、2等は青、3等は緑…」

――もう無ぇよ!!

マモルは、今にも声に出して叫びたくなった。

男は続ける。
「そして4等は、白」

――はいはい。
マモルはもう、どうでも良かった。

「ハイ!それでは張り切ってイキましょう!回して回して〜」
男はマモルをうながした。

「俺はいいよ。ミユキ回して」
そう言ってマモルは、後ろにいたミユキを前に引っ張り出した。

「いいの?回しちゃうよ?」
ミユキは、顔はマモルを見つめながらも、手はしっかりと抽選箱のハンドルを握っており、やる気満々だった。

マモルがうなずくと、ミユキは勢いよく抽選箱を回した。

そして中からポトリと、玉が落ちた。


白い玉だった。


「あ」
男はしばらく無言でその玉を見つめた。そして今度は、大きな声で騒ぎ出した。



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