ルークのケータイにアースルから珍しく電話が入った。
「降霊儀式は無事に終わったよ。娘は成仏したし、これで一安心だ」
声の状態から、アースルのホッとした様子が分かる。
人形騒動には関わりたくはないルークにとって、降霊儀式なんて…今更興味はない。
が…
ふと、ジーナの心の内が知りたくなった。
「お嬢さんの様子は、どうでしたか?」
「生きていた時のままだった。随分と穏やかな表情だったしね」
「僕の事は…、何か言ってましたか?」
ルークにとって、一番知りたい質問である。
アースルは間を置いて答える。
「やはりあのコは…君に惚れていたよ。今でも愛する気持ちは変わらないって言ってたしね」
「ひたむきだったんですね、お嬢さんって」
「娘にとっては君との出会いが、初恋だったからね」
「生きていた頃は、恋をする機会なんてなかったんですか?」
「生まれつき体が悪かったから、友達さえ出来なかったんだ。ましてや、異性との出会いなんて…娘にとっては夢の又、夢だったよ」
しみじみと語るアースル。
「すみません、何だか…嫌な質問しちゃって」
「気にしなくてもイイよ。それよりも、娘から惚れられた気分は?」
「複雑な気分です」
「あれだけ大変な目に遭った上に、大切な友達を失ってしまった君だ。
娘に対しては…激しい怒りで心が一杯だろう」
「正直に言えば。でも…僕を愛してくれた事に関しては、とても感謝しています」
「そう言われると、ホッとするよ」
「霊に好かれたなんて、初めての経験です」
「済まなかった。
人形を大切にしてくれたのに…、あんな目に遭わせてしまって」
「イイですよ。人形騒動は終わった事だし。
それよりも、エリザベスは処分しないのですか?」
「警察から連絡有り次第、引き取りに行く予定だよ。ところでルーク…
エリザベス人形はもう1体ある事を知っていたかね?」
―え!?―\r
一瞬、ルークはジョージが話したローズマリーの事を思い出した。
「いえ、知りません」
「実は今日、エリザベスとよく似た人形が国立スーツ大学の4号研究棟所に運び込まれたらしい」
「何の為にですか?」
「バラバラになったエリザベスの研究の為だよ。 人形の持ち主から、提供されたそうだ」