『奈央に用があるなら、ここで済ませてもらえますか?!』
ユカはそう言うと、青山さんをにらみつけ、
あたしを背中側に回してくれた。
『何よ、あんた?!邪魔してんじゃねーよ。
友達づらして、出しゃばってると、アンタ今に痛い目合うよ?!』
キッ――
青山さんのするどい目つきに、
さすがのユカも、一瞬たじろいだ。
ケド、直ぐにそのするどい目つきを跳ね返し、
ユカは負けじと反論した。
『逆うらみも、大概にしてくださいよね?!先輩?!
あなたには付き合ってる人がいるじゃないですか!!
聖人は奈央のカレシです。手を引くべきなのは、あなたの方ですから。』
ユカが反論してくれたコトが、あたしは素直に嬉しかった。
ただひとつ予想外だったのが、
その後の青山さんの反応だった。
ユカの落ち着いたその語り口が、
青山さんの怒りのツボに、見事にハマってしまったらしい。
『あんた確か、“秋田谷 ユカ”って言ったよね?!
父親がPTA会長だか何だか知らないケド、あまり調子に乗ってんじゃねぇよ?!
ここじゃセンコーの目につくから、
ちょっと2人共ついて来な。
ヤキ入れてやっからサ。』