「おい、鬼頭!お前の両親ってどんな人だ?」
田中の声が教室内に響く。
「優しい人だった。」
僕はこう答えてから、11年前のことを思い出す。
今高校生だから、僕が5才の頃だ。
「手紙かぁ、誰からだ?」
父が母に言う。
「『未来犯罪防止センター』って書いてあるわよ。」
と、母。
「中を見てみようか。」
それからしばらく、父と母は手紙を読んでいた。
まだ幼かった僕は、気にもせず、車のおもちゃで遊んでいた。
その後のことも、鮮明に覚えている。
「どういうこと!?」
と母が驚いている。
「誰かの悪戯だよ、こんなの。」
父は冷静だったけど、すぐに警察の人がやって来た。
「鬼頭さんですね?」
「は、はい。」
「警察です。2人とも、『未来殺人犯取締法』違反の容疑で逮捕します。」
「私たちは何もやっていませんよ!」
父と母が言う。
「あなたたちは、これから人殺しをするのですよ!」
警察の人が怒鳴った。
「詳しいことは後ほど。」
それから僕は独りぼっちになった。
「純平!待ってろよ!純平!」
父と母の叫び声が響く。
帰って来ると信じていたのに…。
いや、信じてる。
―続く―