はるまついぶき 8

東雲  2008-11-30投稿
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シルバードラゴンはその涙をビンに一滴入れハルに渡した。一滴でもビンはいっぱいになった。

「さあこれで彼女を助けなさい。約束なのでしょう?」
ハルは嬉しさのあまり泣いていた。

「ありがとう。ありがとう」
ハルは震えながらビンを受け取った。

「…さて、では私の背中に乗りなさい」
シルバードラゴンはしゃがみ込みハルを背中に乗せた。

「どうするんだい?」
と、ハル。シルバードラゴンは優しく言った。

「リリーのところへ行くのさ」


「できたあ!」
リリーは声をあげた。ハルの絵がとうとう完成したのだ。今までで最高の出来映えだ。

ハルはまだ来ない。

でも全く悲しくなかった。ハルは必ず来る。なぜか確信があった。

ドンドン!

ドアを叩く音がリリーの部屋に響いた。

ハル?

リリーはそう思った。ハルが私を助けに来たんだ。やっぱり来てくれたんだ。リリーは勢いよくドアを開けた。

「何を騒いでいるんだ。こんな夜中に」
そこにはダズがいた。イライラした顔をしている。ハルではなかった。がっかりするリリー。

「すいません。ちょっと…」
ダズは部屋の奥に目をやった。そこには今まで見たことのない絵があった。ダズはすごい顔をして驚いた。

「なんだあの絵は!」
しまった!ハルの絵がダズに見つかってしまった。慌てるリリー。

「どけ!」
ダズはリリーを押し出しその絵の前に立った。

「…なんてきれいな絵だ」
ダズはしばらく絵に見とれていた。そしてはっと我に返り、リリーを怒鳴った。

「なんでこの絵を俺に黙って描いていた。もっと早く俺に渡せ!」

「い、いやこれは…」
リリーは返事に困った。

「うるさい!」
ダズがリリーを叩こうとした時、突然大きな風が吹いて家を揺らした。ぐらつく二人。

「何だ?」
ダズはベランダに出た。そしてダズは目を疑った。
「シルバードラゴン?」

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