私は電車に乗りながら、昨日の一件を考えていた。
制服の男と紗耶香さんはどうなったのだろうか。
本当に私は制服の男に創り出された紗耶香さんの分身なのだろうか・・・
答えなど見つからなかった。
私は田舎の風景が、都会の風景に変わっていくまでずっと窓の外を見ていた・・・。
東京に着くと、私は足早に改札をでて、久しぶりに顔をあわせた智弘クンが、前よりもカッコ良く見えてしまった。
それだけ恋い焦がれていたのだろう。
『ゆりっ久しぶり。元気そうだな。』
智弘クンは満遍な笑顔で言った。
『智弘クンも元気そうだねっ。・・・あっ一週間後また舞台やるんだよね』
『うん。少し大きな会場だから緊張するよ。まっ緊張感ってのは常にあった方がいい。』
『舞台頑張ってね。でさっ智弘クン・・・これからどうしようか?』
智弘クンは少しだけ考えて口を開いた
『お台場。。。ゆりっお台場行ったことあるか??業界目指すんだし、フジテレビでも、見に行かないか?』
『お台場は、行ったことないよ!!行きたい。行きたい私の田舎じゃフジテレビ、テレビでやってないからさっ。あっ智弘クンは地デジにした?』
『いやっまだだよ。』
『地デジに変えたら、田舎でも見れるんでしょ。お母さんに、せがんでは、みたけど、うちもまだなんだ。』
『うん。そろそろテレビ変えなきゃな。。よーーーーし!!!お台場にいくぞ!!!』
おーっ!
私達はまだ付き合っている訳ではないが、息があい、まるで恋人同士みたいだった。
『智弘クン。なっなんかデートみたいだね』
『うん。ゆりと僕の初デートだよ。』
『初?こないだのラーメン屋さんは?』
『あれは〜〜』
智弘クンは渋い顔をし言葉を探してこう言った
『ラーメン屋さんはあれは〜〜おまけだよ。』
『おまけ。ひっどぉぉい。』
二人は楽しく笑いながら、お台場を目指した。
小さく流行りの歌が聞こえてきた・・・
『智弘クン携帯鳴ってるよ』
『ありがとう。あっ舞台の仲間からだ。ちょっとごめん出てもいいかな?』
『いいよ。』
私は笑顔でうなづいた