嘘は罪だと思い知らされた高一のクリスマス。
夢乃屋で楽しいクリスマスを迎えるはずだった。
そんなクリスマス会の前夜、私達の上がり時間にお店の外では一人の女の子が待っていた。
「たまき…」
大堀の驚きと心配に満ちた表情に私の胸は悲鳴をあげていた。
一瞬、私を見た大堀を私は下を向いたまま
「行ってあげな」
と、押し出した。
それが私にできる最大限のことだった。
そして大堀は彼女の元にかけていた。
雪が降り始めていた。
私はお店に戻った。
今、外に出れる程、私はそんなに強くはなかった。
ぐっちはまだ仕込みをしていたが戻ってきた私に
「なんか飲むか?」
と優しく迎えてくれた。
ぐっちは何も聞かない。
だからこそ泣いてしまったのかもしれない。
ぐっちが入れてくれたコーヒーは温かく優しかった。
「なんか寂しいなぁ」
ふとぐっちが言った。
「なんで?」
「雪が舞うからさ」
窓の外は白い世界になっていた。
「みどりさんに会いたい?」私がイタズラっぽく尋ねると、愛しそうに
「せやな」
と笑った。みどりさんすごぃね。あなたの想いの強さだね。ぐっちはとても優しい顔をしていますよ。
私の目からは涙が流れ落ちていた。