ヤ‥ヤキッて‥‥?!
こ‥こわいよ‥‥。
聖人‥‥助けてっっ。
怖くて抵抗するコトも出来なくて、
あたしとユカは、青山さんの後に付いた。
連れていかれた場所は、1階の女子トイレだった。
ここは、普段はあまり利用する人がいないコトから、
よく3年生の先輩達が、煙草を吸ったり、違う目的で利用していた。
思ったとおり、トイレの中は、煙草の煙が充満していて、
あたしは思わずむせ返った。
『成沢ぁ〜。ちょっと出て来いよ。
木下連れて来たんだケドさぁ。』
青山さんが、トイレの個室に向かって言った。
バンッッ――
直ぐに個室のドアが開き、
中から、青山さんと同じ3年生と思われる女のコが出て来た。
背の高さは、ユカと同じ位だと思うけれど、
あたしと同じ位の青山さんと比べると、
やはり頭ひとつ分ほどの差があった。
肩すれすれの長さのベージュ色のボブヘアーに、スレンダーな体型が、
意志の強さを強調していた。
『サオリ、もしかして、そのコ?!
聖人先輩の女って?!』
『あぁ、そうだよ。
ちょうどいいだろ?!コイツら2人に“クサ”さばかせたらサ。』
『マジィ?!
さばかせるのはいいけど、その女、ダセーし。よく聖人先輩の女やってんな。
サオリ、もしかしてギャグじゃねーの?!』
『そう思うだろ?!
あたしも最初はそう思ったんだよ。
でも、マジらしいよ。聖人先輩の女だってのはね。ま、所詮、遊びだとは思うケドさ。』
『ギャハハハハッッ!!ひっでぇ――っっ!!』
青山さんと、その成沢という女の人は、
ヒドい言葉で、あたしを侮辱し始めた。
でも、そんなコトは大して気にならなかった。
聖人とあたしが異色のカップルだなんていう噂は、
陰口という形で、よく耳にしていたから。