青山さんと成沢さんが、そんな話題で盛り上がっているトキ、
あたしは、隣に立つユカに、目で訴えた。
あたしのせいで、ヘンなコトに巻き込んじゃって、ごめんねっ‥‥て。
ユカは、ニコッて微笑んでくれたケド、
内心は、決して穏やかじゃなかった筈。
だって、
これからこの人達に一体何をされるのかが分からない状況だし、
怖いのと、不安なのとで、お互いに顔が引きつってたと思うから。
『ケドさ、サオリ。
このコト、龍二先輩には絶対知られない様にしろよ。
アイツはドラッグ嫌ってるから、もしバレたら殺されるかも知んないじゃん?!』
『あははっっ。大丈夫だよ。あの男は、あたしに惚れてるからサ。
あたしの言うコトなら何だって聞いてくれるし。
ああいう強い男を側に置いておくと便利なのよね。
ボディガードみたいなもんよ。』
『ケッ。わりぃ女だねぇアンタも。
噂じゃ、龍二先輩が聖人先輩に、“俺の女に手を出すな”って、いきなり殴りかかったって話じゃん?!』
『あぁ。あたし最近、あの男に飽きちゃってサ。
追いかけられると逃げたくなんのよ。
分かる?!
今にあたし、聖人先輩を絶対おとしてみせるからね?!』
青山さんは得意気にそう言った。
じ‥冗談じゃないわよっっ。
聖人は、あたしのカレシだもん。
おとされてたまるもんですかっっ。
『さぁてと。本題に入りますかぁ?!』
青山さんは長い髪をかきあげ、
制服のスカートの内ポケットから、
メンソールの煙草の箱を取り出したかと思うと、
それを1本口にくわえた。
カチッ――
カレシの京谷さんから貰ったのだろうか。
女のコが持つにしてはシブ過ぎる、その純銀製のジッポーは、
その風合いから、程よく使い込まれているかと思われた。
煙草の煙を一息吐くと、
青山さんは、あたしとユカの方に向き直った。