目的地に着くと、先に彼女が待っていた。
「もー、何してんのさぁ。遅すぎだよ。遅すぎ。罰金だかんね(笑)」
「智佳こそ何で、俺より先に着いてんだよ。」
「彗を待たせたら悪いと思って、タクシーで来たのさぁ。文句ある?(笑)」
「いや、別に…ないけど。」
「とりあえず、入ろーよ。」
映画の時間にはまだ、早かったようだ。
「えーと…6時半からかぁ…あと、30分もあるね。ね?ポップコーンとかジュースとか買ってった方がいいんじゃない?」
ポップコーン、ジュースと言えば、映画館での定番だ。
僕は、カウンターに行き、ポップコーンとジュースを二つずつ、注文する。
その時、彼女の携帯が鳴った。
「おいおい、映画館ではマナーモードが常識だぞ(笑)」
「ごめーん。ちょっと待っててね。」
彼女はそそくさと映画館の外に出た。
注文を待つ間、正面のソファに腰を掛けた。
僕は映画好きだが、ここのところ忙しく、見に行く暇すらなかった。
「ここに来たのも久しぶりだな…」
今回、見る映画は僕には不釣り合いな、恋愛ものらしい。僕は感動とか恋愛ものの映画は嫌いだ。
楽しくもないし、面白くもない。だから見ない。
「お客様。お待たせ致しました。」
商品を受け取り、外に出る。しかし、彼女の姿が見当たらない。
とりあえず中で待つ事にした。
映画が始まる5分前になってようやく、戻って来た。
「ごめん、ごめん。長電話しちゃってた(笑)」
僕はそれ以上、追求はしなかった。