「亮を病院へ連れて行って一度痙攣止まったんだけど、また」と慌てて電話がかかって来た。
妻の真理だ。いやその当時の妻だ。
「その病院大丈夫なのか??」と僕
「横浜労災病院よ!」真理は自分の選択した病院が間違ってない事を確信しているかのように叫んだ。
そうあの時から僕はこの世に神様はいない、後悔は絶対しないようにしようと考えたのかな。
僕は疲れていた。多分28時間くらい起きている。ウルトラマンだったら560回死んでる。でも行動出来たはずだ。もっと専門的な病院、大学病院とかに連れて行けばなんとかなったはずだ。
三日後に妻と一緒に東海大学病院へ連れて行った。それでMRIなどで診断してもらった。
「能から出血をしてますので、緊急入院してもらいます」と医者から告げられた。
状況は非常に悪く完全に能出血が進んで左能は完全に壊死してるらしい。しかしまだ生後間もないので(生後一週間)リハビリ次第では能も回復する可能性がありますよと医者から言われた。
それから毎日真理と僕のやる事が今までやってる事に追加された。僕は仕事の途中で病院まで真理を迎えに行き、それから二人で寒川神社に神頼み?参りに行き簡単に食事を済ませ、僕は会社に行く。当時僕は大手の建設会社に勤め課長をやってたので、非常に忙しかったのだ。
そんな毎日がずっと続いた。
三年後、僕はそのすべてを知った。
この世に神様がいない事や、後悔をしないようにしようと。。機会があれば、失わないようにと。
ミカが言った。
「女の子がいいな」
僕も娘がいる。亮の面倒をみてもらう為に作った子供だ。マッタク酷い話だ。でも僕の後悔と亮の両親の最善の選択だった。すみれはどうしてるだろう??
僕も「女の子が欲しいな」ってミカに言った。
ミカは無邪気な子供の表情で笑った。
その顔が好きだ。誰がなんと言おうと、この世が終わりを告げようとも、文句なしに好きだ。好きだ。好きだ。
寝てしまった。二人寝てしまった。ミカを旦那の元へ返さないまま。
リーンリーン
ミカは凄く泣いていた。
「私の人生はボロボロ。好きでもない男と暮らして、貴方とは少しの時間しかいられない」とミカが電話越しに刹那く泣いていた。
僕はただそれを聞いていた。