俺らはなんとかして線香だけでもあげたくて、毎日家に行った。行くたびに母親に怒鳴られ追い返された。
そんな日が続いたある日、家に行けば父親が出てきた。
何も言わず真っ直ぐこっちに向かってきた。
俺と連れは間違いなく殴られると思い、歯を食いしばり目を閉じた。すると、
ドサッ!…。
何の音か分からずゆっくり目を開けてみると父親は泣き崩れながら
「ありがとうな…。今日は、わし1人やから。」
と言った。
そのまま家の中に入った。線香をあげさしてもらった。しばらく沈黙が続いた。すると父親は凉人の話をし始めた。
「あいつは中学生の時ずっとイジメられていて、学校にもいってなかった。家でも引きこもり。どうしたらいいかわからんかったけど、君らに出会ってあいつは変わった。毎日たのしそうやった。あいつを明るくしてくれたのは君らなんや。まあいい友達とは言えんかもしれんけど、君らには感謝してる。」
俺らは泣くことしかできなかった。