「あーあ、どうしてわたしがこんな目に」
シャープはリコードからオーケスまでの道中、ため息交じりにひとり嘆いていた。
シャープがなぜ、たった一人でオーケスへ向かっているのかは、少し時間を遡らないと分からない。
数時間前
タクトはフラットに「一緒に旅をしよう」と言った。だが、ミュークがこんな様子を黙って見ている訳がなかった。
「何を勝手に言っとるんだ」
「じゃあ、ミュークさんはフラットに死んで償えとでも?」
パールがミュークの前に立ち塞がった。
「こんなのはどうだ?」
ウェドが四人の注目を集めた。
「フラットは村を壊滅させてしまった。その償いとして、パラスをルパスの攻撃から守る。つまり、戦争を止め、この国を救うんだ。『不死鳥』を使ってな」
「戦争から守るですって?馬鹿げたことを」
ミュークがウェドを嘲笑する。
「フラットなら、大丈夫だと思います!」
シャープが突然意見した。
「シャープが近くにいたの気付いたかい?」
タクトが小さくパールに耳打ちした。パールはゆっくり首を横に振った。
「なんだかよく分からないんですけど、フラットにもう一度チャンスを与えてあげて下さい。お願いします」
シャープが頭を下げる。
「・・・フラット、あなたはどう思うんだい?」
ミュークの視線がシャープからフラットに移った。
「僕は、できることなら、もう一度、やり直したいです。・・・タクトさんたちと一緒に行きたいです!」
ミュークは今まで見たことが無いフラットの希望に満ち溢れた瞳に負けた。
「・・・いいでしょう。フラットのことを認めよう。しかし、わしの期待を裏切らないようにな」
ミュークは学校へと帰って行った。
「よし!これで一緒に旅ができるな」
「そうだ、タクト次はどこに行くの?確かこの先には・・・」
パールを見て、タクトは大変なことを思い出した。
「あっ!パール!背中は?」
「あー、あれ?実はね、あの呪いはまだまだ大丈夫なんだって、コーディアさんが言ってたの」
「えっ?」
それはそれは驚いた。
それじゃあ、ミュークさんはどうして?
「それで思い出したわ!シャープ、コーディアさんがオーケスまでお使いだって」
パールがシャープに一枚の紙を渡した。
「今ですか!」
「シャープがいちばん信用できるんだって」
「そんなー」