午前は普通授業、午後は戦闘機の訓練、それがこの学校の日常 。
「ニキは相変わらず実戦訓練はダメだな」
そう言ってアルは少女をからかった。
「筆記試験じゃいつもトップクラスなのにな」
ジェフは挑発するようにニキの顔を覗き込んだ。
「ペンと操縦桿じゃ勝手が違うの」
ニキは嫌がって顔を背ける。
アル、ニキ、ジェフは実戦訓練でのチームメイト。
アルの父は戦闘機乗りからは英雄として讃えられる有名人、アルもそんな父親に憧れ同じ戦闘機乗りとしての人生を歩むことを選んだ。父親からの才能を受け継いだアルは実戦訓練筆記ともにトップクラスの成績だ。
友人でありチームメイトでもあるニキは頭は良いが訓練ではいつも悔しい思いをしている。特に今回の試験は大事な試験だったためかその落ち込みようはいつも以上だった。
ジェフはその逆で勉強はまったくと言っていいほど出来ない。ただ射撃の腕前だけはアル以上だ。今回も超エリートのアルより射撃の精密度が良かったため上機嫌になっている。
この学校は謎の戦闘機による攻撃を受けた10年前に急遽設立された。
その目的は地球の防衛であり、そのために世界中から15歳以上のエリートが集められた。
アルとジェフはアメリカ、ニキはイギリスからこの学校がある人工島に送り込まれた。この人工島は太平洋のど真ん中につくられたどの国にも属さない島である。
「お、今回も撃墜数トップの日本人だ。…名前何だったっけ?…スズキ?…サトウ?」
ジェフは前方にいる日本人を顎で指した。ジェフはきにくわないのかいつもその日本人の愚痴をこぼしている。
「ミカミ…コウ、だったっけ?あの人いつも1人だよね?全然笑わないしちょっと変わってる感じ…」
ニキにとっても気になる存在だった。
捉え方は人それぞれだがある意味目立つ存在だ。
「まぁ日本人なんて大概そんな感じじゃないのか?気にするほどのことじゃないだろ」
アルは素っ気なくそう言った。