ブラッディ§レイン8

祐夜  2008-12-04投稿
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「痛い!!痛いよぉ…ママぁ!!」
少女は痛みに顔を歪ませながら母に叫ぶ。
やはり母はナイフを少女の手の甲に突き立てながら。
「我慢よ…我慢なさい!!」
少女は必死で耐える…

そして、一分後、母はナイフを抜きとり、すぐに少女の傷口に手当を始めた。
「……ゴメンなさいね…アリス…痛かったでしょう?」
そう少女に問い掛けながら優しく少女の傷口を手当する…
アリスは何が何だか分からないまま母の問い掛けに頷く。
「……私が何故こんな事をしたか分かる??」
母は手当を続けながら問う。
アリスは首を横に振って手当をする母を見つめながら…
「……ううん…分かんない…アリスが悪い子だから?虫サンを殺しちゃったから??」
母の問い掛けを問い掛けで返す。
すると母は少し微笑みながら
「…いいえ…違うわ…貴女が悪い子だからじゃないわ…」
母は手当を完了し、アリスの血で真っ赤に染まったナイフを眺めて。
「いい?アリス?これからママのする事をしっかり見てるのよ??」
アリスは黙って頷く。
母は足元に転がっている虫の死骸に向かってナイフ逆さにして傾けて見せた。
するとナイフの刃についていたアリスの血が虫の死骸に向かって流れ始める。
一滴ずつ確実にその死骸に向かってシタタリ落ちていく。
ピチャ…ピチャ…と
すると不思議な事に、死骸だったはずの虫が動き始めたのだ!!
この不思議な状況をまのあたりにしたアリスは思わず息を飲む…
そして暫くすると虫は元気を取り戻し、羽根を広げて飛び立ったのだ!!
この不思議な状況を母と少女は沈黙のまま暫く見守っていた…
沈黙を破ったのは母の方だった。
「…アリス…今まで黙っていたけど…貴女の血液は神聖なものなの…貴女のその血液で多くの生命が救えるの…素晴らしい事なんだから怖がらないでいいの…貴女は他の兄弟達とは違う、特別な力を持って生まれた子供なの…フフッ…」
アリスはア然とした…
《私が特別?他の兄弟達とは違う??分からない…怖い…》
アリスは先程の母の言葉に体を震わしながら酷く怯えていた。
すると母は優しくアリスの頭を撫でながら続けた…
「アリス…貴女も知っておく必要があると思ったから打ち明けたのよ…分かるわね…?」
アリスは母の暖かい手の温もりを感じて、ゆっくりと頷いた…

〓第8話完〓

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