気が付くと私は、うつむき加減で笑った横顔の、あのシワを思い出しては、心を桃色にしていってた。久し振りに味わう感情に、あっという間に、離婚の苦い経験も、必死で働いてきた数年も忘れた。
空気が冬の匂いになってきた…そんな休みの夜、「休みだよね?何してた?」って、淳さんからメールがきた。そう!私を桃色にしている、「高野淳!その人だぁぁぁ〜〜!」と、叫び他たいほど嬉しかった。休みにお酒を飲むことなんて無いのに、飲みたくなって、チョット酔いながら、あの笑顔がみたいと思った…。………で、出来るだけ冗談っぽく、でも本気を匂わせながら、「暇つぶしに、私をドライブに行かない?私は横で、お酒飲んじゃうかも知れないけど〜♪」…確か、こんな感じのメールを送信!。私のメールを読んで、すぐに部屋を出たらしく、次のメールの内容は、「たぶん、もうすぐ家の近くに着くよ。」だった。詳しく場所を知らせる為のメールを返し、慌てて着替え、スッピンの顔に眉毛を書いて、歯磨きをしていた。ドキドキドキドキして、心だけじゃなく、30を2年過ぎた女の頬まで桃色になった。出て行く時に、寝ている息子の顔を見て、一人で置いて行く事の罪悪感はあったけど、脳ミソまで桃色かと思われるほど、あっさり「ゴメンネ」って、小声で手を合わせて出て行けてしまってた。
外へ出ると、すぐに淳さんは来て、助手席に乗ると同時に、あの笑顔を見て……車の中と、窓から見える景色以外の事は、すべて頭の中から消えていた。