ヒロシマ

Йокё  2006-06-21投稿
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白く、赤く、青く、茶色くなったその町にはドロドロユラユラと川が流れていました。ナツミは流されてきた手紙を拾いました。「お爺ちゃんが赤ぁくなってトマトになりました。それからお爺ちゃんはお話をしなくなりました。」
ナツミは川辺でリュウを見つけました。「何してるの」「ケンタが川に入ってから戻ってこないんだ。探してるんだ。」「ジュースになったのかな」「そうなのかもしれない。」「じゃぁ、書こう。私達は手紙を書こう。」「うん、書こう」
手紙はユラリクラリと川を流れていきました。
ナツミとリュウは広場へ向かいました。黒い噴水。黒い雑巾。黒い手。
「この手、誰の手?リュウ君の?」
「僕は…ある。誰かが落としていったのかなあ?」
二人はまた歩きだしました。井戸の周りには黒くなったトマト達。ウニョウニョゴロゴロ
「君たち、手を見なかったか。」「はい、広場にありましたよ。」「妹のなんだ。すまないが持ってきてくれないかな?」「はい、いいですよ。」
ナツミとリュウは広場へ戻り始めました。「あのキノコ、大きかったよなぁ」「皆、トマトかジュースになったよね」「うん、流れた。流れた」
二人はトマトになって、倒れました。手紙は誰も書きませんでした。



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