『木下さん。あたしの忠告を無視して、聖人先輩と随分と仲良くしているみたいね?!
大人しそうな顔して、いい度胸してんじゃん?!
あたしをナメてんの?!』
青山さんは、煙草の煙を深く吸い込んだかと思うと、
その息を、至近距離からあたしの顔に吹きかけた。
『ゲホッ‥ゲホッ‥‥ゲホッ‥‥‥。』
思わずむせ返った。
『あっはっはっは。
期待どおりのリアクションしてくれるわねぇ?!木下さん。』
むせ返るあたしを見て、あざ笑いながら青山さんは、さらにこう続けた。
『木下さん。
あたし達と取引しない?!
実はあたし達、最近観葉植物に興味あってさ。
趣味でたくさん育ててるんだケド、
最近忙しくてサ。
それで、あなた達にその植物の世話を手伝ってもらいたいんだよね?!』
『観葉植物‥‥ですか?!』
意外だった。
このヒト達に、
そんな趣味があったなんてコトが。
『そう。この頼みを聞いてくれたら、今ここであんた達にヤキ入れてやろうと思ったコトを取り消すよ。さぁどうする?!』
青山さんの視線は、そらされるコトなく、
真っ直ぐあたし達に向けられていた。
分からない。
何故、青山さんは、この期に及んで、その観葉植物の世話を、あたしとユカに頼もうとするのだろう。
あたしは、青山さんの考えが全く読めなかった。
成沢さんは、だまって青山さんとあたし達のやりとりを見ていたケド、
急に何かを思い出した様に話し始めた。
『サオリ。マジで大丈夫かよ、その2人に頼んで。
もし“クサ”の世話をその2人に頼んだコトがバレたらヤバイよ。“カンベツ”か“ネンショ”行きだよ。』
さっきとは打って変わって、弱気なコトを言い出した成沢さんにイラついたのか、
青山さんは一瞬眉をひそめ、怪訝そうな顔をした。