雪の華?

龍王  2006-06-21投稿
閲覧数[642] 良い投票[0] 悪い投票[0]


あれからたまに聖夜は桃実さんの所に連れて行ってくれた。

親とは接する機会が少なく、兄弟ともめったに会えないので
桃実さんが姉のように思えた。


「桃実さんはアレのどこが良かったんですか?」
「アレいうな…」

朱斐は、聖夜に多々連れて来てもらい桃実とはお茶友達になっていた。

「──……聖…はね、朱斐ちゃんと一緒だから…」

弱々しく桃実がゆっくり話す。

「一緒?どこがですか?」

桃実は、朱斐の問いに答えず聖母のようにただ優しく微笑む。

「???」
「時間だ…かえっぞ!朱斐」
「Σえっうん」

朱斐が帰ろうとした間際に、桃実がつぶやくように声を掛けた。

「いずれ分かるよ。朱斐ちゃん…」

「?」




帰宅時間ギリギリに帰ってきた。聖夜とは別に監視役の任を持つ者がいる。その他色々も。一日の中で、朱斐の自由な時間は限られている。

「間に合った〜帰宅時間一分遅れただけでグチグチイヤミ言われるからな〜」
「ま・間に合ったんだから良かったよι」

そうだなと言い、屋敷のドアを開ける。

「御帰りなさいませ、朱斐様…」

聖夜がドアを開け、朱斐と中に入ると、スーツを着た男が深々と頭を下げ出迎えた。

「く……黒峯」
「兄貴…」

二人を出迎えたのは、朱斐の前任の教育係黒峯だった。
朱斐が後退り、黒峯を見て動揺している。

「今日は社長の命を受け…参りました」
「父様…?な・なんの用件ですか?」

黒峯は中でゆっくりお話させて下さいと言い、三人は広間に移り、朱斐だけソファーに座った。

「これを…」

そう言い黒峯が、朱斐に黒い冊子のような物を手渡した。

朱斐は受けとり中を見た。

「これは…」
「──……朱斐様も十六歳におなりになったので……社長が見合いをするようにと…」
「はっ?」

二人の様子を見ていた聖夜が、つい声をあげてしまった。

「御見合いとは形だけで…朱斐様の…婚約者になる方です」
「…」

朱斐が黙って見合い写真を見ている。
しばらくして写真から顔を上げると、黒峯を見上げる。


「あなたが……」


あなたが私にそんな事を言うなんて…


「…」


私はあなたに会えて
胸が苦しくなるくらい嬉しかったのに

残酷な人

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 龍王 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ