「んっ…」
「Σあっ気が付きました！先生」
菫が目を覚ますと、そこは病室で看護婦がしきりにもう大丈夫ですよと言っていた。
「私…どう…」
「事故でね、救急車で運ばれて来たの。幸い〈あなた〉は腕と手足、胴体の切傷と軽傷ですんだの…」
「あなたは？……Σ蓮華は？！」
菫が半身を起こし、看護婦に詰め寄り聞くと看護婦は顔を曇らせ、言いにくそうに話した。
「…」
鞠花が椿の手を握り、眠りについている椿の寝顔を見下ろしている。
ガラッ
病室のドアが開き、人が入ってきた。
「鞠花ちゃん！」
「菫さん…どうし…」
「蓮華が…蓮華が事故に遭って…もう…助からないって…」
「Σ！」
菫が、泣きながら床に膝をつけ、鞠花にしがみつく。
「お願い…蓮華が…あなたを呼んでるの…行ってあげて…」
「…」
鞠花は、蓮華が事故と聞いても動こうとせず、椿の手をギュッと握り、固まっている。
「──……鞠花…行って…蓮華さんの所に…」
「椿…」
「行って…」
目を覚まし、話を聞いていた椿が蓮華の元へ行くよう促す。
鞠花は椿の手を握ったまま、顔を歪め、首を振る。
「大丈夫……俺は大丈夫だから…」
「お願い！鞠花ちゃん…蓮華が…蓮華が…」
菫が泣きながら懸命に鞠花に、懇願する。
鞠花は椿から離れたくなかった、でも蓮華が事故に合ったと聞いて、放って置けない。
でも今は椿から離れられない…
「椿…私…あなたの傍から離れたくない」
鞠花の横では菫が声を張り上げ、泣いている。それだけで蓮華が危ないと分かる。
「鞠花……今は蓮華さんの所行くべきだ…」
「…」
「……行かないなら俺が行く」
そう言い、椿が起き上がろうとした。
「Σ止めて！…わ…分かった…行って…来る。だから…椿…」
「ああ…待ってる」
鞠花は最後に椿の手をギュッと強く握り、放すと病室から出て行った。
菫は床に崩れ、嘆き泣き続けていた。
椿は菫を慰めようと、半身を起こそうとした。
「ッ…ガハッ」
「……椿…君？」
咳き込む音が聞え、菫が顔を上げるとベットの上で、椿が吐血していた。
「つ・椿君！！！」
椿は血を吐き続け
意識を無くした…
鞠花…ごめん
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