あなたは人生に満足していますか?
ほとんどの人は「いいえ」と答えるでしょう。
僕もその内の一人です。
生きる意味が分からなければ、死ぬ意味も分からない。
「何のためにこの世に生まれたのか」
僕はその答えを探している途中で、ある一人の男と出会った。
ちょうど去年の冬だった。
その男はスーツをつけてるのに十代に見えるぐらい若く見え、爽やかな感じのいかにも好青年といった感じだった。
男はネクタイをゆるめながら、疲れた表情で駅の出口付近のベンチに座っている僕に話し掛けてきた。
「すいませんN駅知りませんか?」
あきらかにこの地域に慣れない様子で、首元にはうっすら水滴がついており、そうとう駅を探しこんでいたのだろうとすぐ予測できた。
「N駅はすぐそこですけどもう電車ないんじゃないんですか?」
「うわっもうこんな時間かよ…もうタクシーしかないなあ」
「そういえば君、何でこんな遅くにこんなとこ座ってるんだ?家出か?」
小馬鹿にしたような軽い口調で話しかけてきた。
「違います。ただ散歩してただけです。あなたは何でここにいるんですか?地元じゃないですよね?」
「空な、名前。」
つられて自分の名前を教えた。