エリザベスドール?(18)

ぐうりんぼ  2008-12-06投稿
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 ドアノブのガチャガチャとする音が響いて来た。

 ドアが開いて警備員ランスが入って来る。

 落とし物を取りに倉庫に戻って来た時だ。

 中から声が聞こえて来るのを不審に思って、ランスはドアを開けたが…
 中は真っ暗で誰もいない。

 懐中電灯を照らしながら辺りを見回す。

「おかしいなァ、確かに女の声がしたハズなんだが……気のせいか」

 そう納得してランスはドアを閉めた。

 シーンと静まり返る部屋の中…

 ローズマリーは、ガラスケースの中に何事もなかったように収まっていた。

 ――――――――

 パーソロン邸に1人の女性が訪れた。

 応対に出たアースルは女性の顔を見て驚き、自分の目を疑う。

「お久しぶりです旦那様」

 その女性は礼儀正しく、丁寧に挨拶した。

 ジッと女性を見つめるアースル。

 心の奥から感情がひしひしと湧いて来た。

「君は確か…」

「元メイドのキャリー・コルベットです。
 覚えてますか?」

「ああ…覚えておるよ」

 忘れてはいない。

 火災で焼失する前のバーソロン邸で働いていたメイドたちの中で…

 キャリアが短く、年齢も若かった。

「クビになった人間が、今頃になってノコノコ顔を出すなんて…
 我ながら、お恥ずかしい限りです」

「何を言う? もう、何も気にする事はない。
 むしろ私としては、君から顔を見せてくれた事に感謝するよ」

「お冗談を」

「私は本気で言ってるんだよ。よく来てくれたって思ってる」

「旦那様」

 思わずジーンと来たキャリー。

 いつも笑顔を絶やさず、仕事覚えの早い真面目なコだったキャリー…

 ジーナの身の回りの世話と話し相手の担当を任されるぐらい…信頼が高かった。



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