鞠花…
ごめん…
でも本当に…
「──………れ……げ…蓮華！！」
「……鞠…」
鞠花が、手術台に寝ている蓮華の手をシッカリと握り名を呼び続けていた。
蓮華は体の損傷が酷くもう助かる余地は無かった。
「鞠…花…」
「蓮華！喋らないで！すぐ…すぐ治るから…治る…から…」
鞠花は傷付いた蓮華の姿を見て、堪えられず涙がこぼれる。
「鞠…ずっと…謝りたかった……ごめん…ごめん鞠花」
「気にしてない…気にしてないから…」
「それと…」
「何…？」
「愛してる」
蓮華が、鞠花を見つめ声を振り絞る。
「愛してる…本当に…お前を愛してた」
「蓮華…ッ」
鞠花は私もと言えなかった。嘘でも椿を裏切れなかった…
「──……鞠花」
「な…何？」
蓮華が鞠花の手を握り返し、最後の力で最後の言葉を伝える。
「──……生まれ変わったら…今度は一緒にな…ろう…な」
「蓮華…」
「約…束…」
「蓮華！」
ピーと言う音が響くと同時に、蓮華は目を閉じ息を引きとった。
「蓮…華？蓮華…嫌…嫌ァァァ───！！！目を開けて！いかないで蓮華！！」
鞠花は絶叫をあげると、蓮華にしがみつき、泣き叫んだ。
鞠花の悲痛な嘆きが響く中、鞠花は心が壊れそうなくらい苦しく、死にたい衝動にかられた。
「……き…つば…椿…たす…けて…助けて…椿…」
一人では耐えられない悲しみに鞠花は泣き叫びながら椿に助けを求めていた。
フワッ──
鞠花が蓮華の傍らで泣き続け、椿の名を呼んだその時、鞠花の回りに暖かい空気が漂い、暖かい空気は鞠花を包み込んだ。
「……つ……ばき？」
鞠花には確に聞こえた。
空気と共に〈鞠花〉と言う椿の声が…
「……つば…き？」
鞠花が椿の病室に戻ると、そこには変わり果てた椿がいた。
「ま…鞠花ちゃんが…行った後…具合いが…急変して…す…すぐに息を…」
菫が泣きながら、鞠花に何があったか説明している。
「嘘……いや…」
鞠花がガクッと膝を曲げ、床に崩れ落ちる。
「…嫌……イヤァァァァァ─────────！！！」
鞠花は身を切り裂くような悲痛な絶叫をあげた
蓮華と椿の死
あまりに
残酷な現実に鞠花の心は崩壊した…
[951] 
[0] 
[0]
