エリザベスドール?(19)

ぐうりんぼ  2008-12-06投稿
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 ところが、屋敷内で現金盗難事件が発生…

 キャリーが疑われる事態となった。

 勿論、キャリーにだってアリバイがある。

 だけど、無実である事の証拠が揃っていない。

 容赦なく解雇処分を受けたキャリーは、無念の思いで屋敷を出て行った。

 今から12年前、キャリーが18歳の時である。

 それが今…

「私を許して欲しい」

 アースルが謝罪した。

「え?」

 思いもよらないアースルの態度に、キャリーは戸惑う。

 アースルに依ると…

 解雇処分を受けたキャリーが屋敷を出て行った後、別のメイドの1人が本当の事を白状したのだと言う。

 何と、現金をワザと隠して事件をでっち上げていたのだった。

 優秀なキャリーを妬んでの計画的な騙し行為だったようだ。

「それで私は、すぐに君を呼び戻して処分を取り消そうとした。
 だが、その時君は既に…どこか遠くへ行ってしまった。色々と手を尽くして君を探したよ」

「あの後、私は街を出たんです」

「あれから今日まで、私は君の事が気になって仕方がなかった」

「それほどまでに私を、気にかけてくれたのですね。嬉しいですわ」

 と、笑顔のキャリー。

「今は、どうしているのかね?」

「結婚して、2人の子供たちに囲まれて暮らしております」

「それは良かった。
 安心したよ」

「奥様は? サラー奥様はどうなされました?」

「妻は…、5年前の屋敷の火災で亡くなったよ」

 しんみりと答えるアースルの顔を見て、キャリーは思わずハッとなる。

 質問しなければ良かった。

「申し訳ありません、何も知らずに…」

「いやいや、気にする事ないよ」

 そこへ使用人のマーガレットがやって来た。

「旦那様、ルーク・ハリーと言う学生さんが見えられました」

「すぐにココへ通してやってくれ」

「かしこまりました」

 立ち去るマーガレット。

 キャリーは話しを変えた。

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