人は自分のことを一番に考えてくれる相手と結ばれる方が幸せだと言う。
もし…そうならば優先輩は私にとって最適な相手。
優先輩のまっすぐな瞳は、想いそのもので…私にはもったいない。
神様、恋に堕ちることは罪なのですか…
猛とはまた違う…何か。
激しくはないが温かく溢れる気持ちに私はどうしようもないくらい揺れていた。
｢先輩、私付き合ってる人がいます…｣
｢わかってる｣
先輩は眼を閉じた。
｢別れた方がお互い楽なのに…別れられません｣
泣きそうなのを我慢した。
｢俺は玲に彼女になって欲しいと言わない。もちろん…叶うならそうありたい｣
先輩の声もまた震えていた様な気がした。
｢苦しく…ありませんか？｣
｢苦しいよ。でももう我慢して見ているだけはもっと苦しい…だからとりにいくことに決めたんだ｣
先輩は眼を開き、まっすぐ私を見つめる。
｢そうですか…｣
今度は私が目を閉じた。
先輩程の覚悟が私にあったんだろうか…この人は強くて…優しい。
そして私は弱くてずるい。
レストランの帰り、先輩の車で家まで送ってもらったが私は中々、車から降りれなかった。
先輩とこのまま別れることが私には出来なかった。
[69] 
[0] 
[0]
