ハーフムーン (30)

 2008-12-07投稿
閲覧数[941] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「い…今からって、そんなの無理に決まってるじゃん!なんも準備してねぇし」
マモルは慌てて言った。

「大丈夫です。手ハズは整えてあります」
男はそう答えた。

そして間髪入れずに、狭い道幅いっぱいもある巨大な空港行きのリムジンバスが、会場に颯爽とやって来た。

「ミユキは大丈夫なのかよ?いきなり出発しちゃっても」
マモルが聞いた。

「アタシは大丈夫…慣れてるし」
ミユキが小さくうなずいた。

「サァー!皆さんでこの若い二人を見送りましょう!では行ってらっしゃい!!」
男がそう叫ぶと、周りから一斉に、無数の紙テープが飛んだ。

二人はバスに、まるで押し込まれるかのように誘導された。

バスの入口でマモルは後ろを振り返り、男に聞いた。
「海外って…行き先は?」


「ミステリーツアーでございます」


その瞬間、バスのドアが閉まった。



バスは二人の貸し切りだった。


運転手は無言で、国際空港めがけてバスを走らせた。


マモルが言う。
「参ったなぁ……俺、バイトの途中なんだけど。オヤッサンに怒られるわ」


「さっきの車の景品といい、この海外旅行といい、何でも急な抽選会だったね」
ミユキは、バスの外の景色を眺めながら言った。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 翔 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ