《あの時のママの手…凄く温かかったなぁ…》
アリスは自分が気を失っていた事に気付き、現実に引き戻された。
横たわるロミオの死体に重なる様に倒れていた事に気付いた。
「私…気を失ってたの…?」
《あんなに昔の事を思い出すなんて…よっぽど疲れてたのね…》
当たり前である。目の前には自分の愛する男の子が転がっているのだから…正常な思考回路が働く人間などこの世にいるはずは無い。
アリスは昔、母と呼んでいた女の言った言葉を思い出して、、
「《私の血液を使えば…もしかしたらロミオが生き返るかも知れない…》」
そんな微かな望みに賭けるしか無い…!アリスはそう思っていた。
するとアリスは小型拳銃を取り出し2発、自身の右手を躊躇無く撃った。
パン!
パン!!
銃声はうっすらと日の光が射す森の中にコダマした。
「…ッ!!」
アリスの右手には真新しい銃痕が二つ出来て、その銃痕からはアリスの鮮やかな血液が溢れ出ている。
「ロミオ…待ってて…すぐに…すぐに助けてあげるから…」
アリスはロミオにそう呟きながら、ゆっくりとロミオの口元に右手を近付けた。
「大丈夫…ロミオは助ける…私の命に替えても」
アリスの血液は彼女の細い指先を伝いロミオの口内に注がれていく…
暫くその状態が続いた…
すると5分後、ロミオの体に変化が起こり始めた!体が痙攣を始めたのだ!!
「後少し…後少し…」
アリスはどこか感じとっていた、、
恐らく彼を助けたら私は死ぬだろう…と。
しかしアリスはそれでもイイと思っていた、彼さえ助かったら私は死んでもイイ。
《神様…お願いします…私はどうなっても構いません…彼を…私の愛する人を助けて下さい…》
アリスは瞳に涙を浮かべながら神に祈りを捧げた…
アリスの救助は1時間にも及んだ。
もはや意識は朦朧とし座っているのもやっとの状態になっていた。
非常に危険な状態に陥っていた、、
しかしアリスは止めない!断じて止めない!!
彼を助ける!!その強い意思が彼女にここまでさせたのだった…
「だ…大丈夫…きっと…ロミオは…た…助か…る…」
ロミオは息を吹き返して自身で息をするまで回復していた…しかし未だに目を覚まさないし息も弱々しいままだった。
〓第9話完〓
つづく…