2 偶然か運命か
毎朝、あたしは自転車で登校する。
いつものように自転車で桜並木を走っていた。
「瑠実!」
後ろから声がした。後ろを向くと友達の佐藤 里乃がいた。
短いカットされた紙に大きな目。まさに理想の顔。
自転車を止めると里乃は息を切らしながらやって来た。
「おはよっ」
あたしは自転車から降りて言った。
「やったよッ!ついにッ!」
「なっ…何?何?」
あたしの右手を振り回す里乃の目は輝いていた。
「好きな人に告ったら、オーケーだって!!」
里乃は今にも泣き出しそうな笑顔で言った。
「えぇっ?!好きな人?」
里乃の好きな人なんて聞いたことない。誰だろう。期待に胸が高鳴る。
「高橋 実留って言うの!確か、中学の時におんなじクラスだったよ。」
「たっ…高橋?」
高橋 実留って…。今日の朝、アルバムで…。
「あっ瑠実も高橋だよね!今度、紹介するよっ!」
「あっうん!紹介してよね!」
そう言うとあたしと里乃は歩き出した。