はるまついぶき 11(完)

東雲  2008-12-07投稿
閲覧数[491] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「よかったね二人とも」
シルバードラゴンは言った。

「ああ。あなたがいたからリリーを助けられた。ありがとう」
と、ハル。

「私もだよ。またいつか会えるといいね。では私は[魔界の洞窟]に帰るとしよう。さようならハル。そしてリリー」

「ありがとう。さようなら…」
飛び立つシルバードラゴンをハルとリリーは見送った。シルバードラゴンは実在した。作り話などではなかった。今は神様にもハルは感謝できた。ただ気持ちがよかった。

「で、どうする?」
と、ハル。

「ハルの家に行こうよ。ようやく私は自由になれたんだから。
リリーは両腕を目一杯広げて言った。

「…そうだね」
月の光に照らさてハルとリリーはずっと道を歩いていた。



ー次の日ー

「何だこれはぁ!!」
ダズは叫んだ。昨日の夜に買ったシルバードラゴンの涙が真っ黒に変色してしまったのだ。まさか騙されたのか?そんな馬鹿な。これで俺は一生遊んで暮らせたのに…。ダズは膝をついて落胆した。

「えっ!そうなの?」
リリーはハルの家の中で大きく驚いた。

「シルバードラゴンがどうせリリーを買う奴はろくなのいないからってあの涙に魔法をかけたんだ。次の日にはどぶの水になるように」
ハルはコーヒーを啜りながら言った。

「いいざまね」
そして二人で笑った。

「ねえ、これからどうするんだい」
と、ハルは炭鉱に出かける前に言った。そしてリリーは楽しそうに言った。

「そうね。とりあえずまた絵を描こうかしら」

ハルの家の壁には春の暖かい風を待つ少女が描かれている絵が掛かっていた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 東雲 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]
コンタクトのケアが変わる
洗浄1つで視界良好


▲ページトップ