「関口君ってさ…」
「…ん?」
「なんでいつも空を見てるの?」
私は、ずっと
気になっていたことを聞いた。
「…知りたい?」
「うん、知りたい」
「それはね…」
関口君は私の目を見て、
「魔法をかけられたから」
そう言った後、
やわらかくほほ笑んだ。
「え…魔法?」
「楠木さんの名前ってさ、どんな由来があるの?」
突然話を変える関口君。
「な、名前!?」
魔法の話は…?
「うん。名前の由来」
「えっと…
私が生まれたの日、
空がすごくキレイだったから…
って聞いてるよ」
「そうなんだ」
「…うん」
で、魔法の話は?
「僕さ…
小学生になる前に
引っ越しをしたんだ」
「えっ…
そうなんだ…」
マイペースに
話をすすめていくなぁ…。
「その時に、ある女の子が
『私の名前は
この“空”からもらったの。
だから、どれだけ
離れたって大丈夫。
私たちは、
空でつながってるよ』
…――って言ったんだ」
……それって…?
「誰かさんの名前の由来に
似てると思わない?」
関口君はそう言って笑うと、
起き上がって伸びをした。
私は…
何も言えなくて黙っていた。
つづく》