メイクは常に薄い…バッチリメイクがどうしても苦手だ。
髪型はナチュラルな巻き髪。こうちゃんが一番喜んでくれるからそうしている。
仕事着そんなものはない。普段着る物も、仕事で着る物も同じ…私は靴屋のオーナーなのだ。
職業も収入も中の上。悪くない。
マンションから自転車で10分…某有名ブランドの路面店の裏のビル一階…小さなお店だけれどそれなりの家賃を毎月納めなければいけない場所だ。
納めれるだけの利益があるのだからそこそこ儲かっている。
新品からヴィンテージまで私の気に入った靴が並ぶ。
一点物が多いためお客さんの要望に答えられないことも多いが…答えなきゃいけないとは正直思ってない。
商売というよりは道楽だから。
好きな靴だけ並べて、不自由ない生活が送れるだけの利益が獲られればいい…こんな事思ってるなんてお客さんが知ったら店潰れるかなぁ…でもその程度の気持ちでもオーナーになれた…これ事実。
今日こうちゃんが夜来るなぁ…と思った次の瞬間…。
健輔の事で頭も心も一瞬にして溢れてきそうなくらいいっぱいになった。
健輔…私の好きな人。愛している人。大切な人。考えるだけで、苦しくて痛くなる人。
死んだ人…。
もういない人…。
健輔…一年前に心臓が止まった人…。