幸運の女神 6

朝倉令  2006-06-21投稿
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(お、……すげー自然な感じじゃん)



俺、倉沢諒司は、ギターの石島康介の見慣れた金髪を目の端にとどめながら、派手にチョッパーをかましていた。



不意に康介がこちらを向いて、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。



キーボードの峠昭彦は、俺たち二人に眼鏡の奥からウインクをよこしてきた、…が男にウインクされても嬉しくない。



期せずしてして、我々ラットラーの三名の意見が一致したようだ。




品川恵利花は、全身を振り回す勢いで『魅せる』プレイを展開している。



ツーバス(二個のバスドラム)を自在に使いこなす様は、ある不世出の天才ドラマーを彷彿させた…





エリカと音合わせしたのは一曲だけで、その後はなぜか雑談タイムに突入。



「すっげーキレのいい音じゃん、ドラム歴長いんか?」


「ううん、まだ一年ちょっと位かなァ?
前はねェ、ベースやってたんよ二年くらい」


「ほう、諒司クンとまるっきり反対ですね。
 彼は元々ドラムで入ったんですよ」


「そうだな、…ベースに転向してから三年位かな?」



と、こんな具合に。




考えてみると、カラオケボックスで歌わずにダベってるみたいなものか……






「ところでよォ、お前ら何で知り合いなわけ?」


「僕も聞きたかったんですよ、それ」


「あ、それはね〜、リョージがナンパ‥ムグ」


「うわっ!やめろってバカ 、んな事いまさら蒸し返してどーすんだよ!」



俺はとんでもない事を言いかけたエリカの口を、必死に押さえていた。








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