「大丈夫かな…」
ニキはポツリと不安の言葉を口にした。
大丈夫…とは言い切れなかった。敵機700機という数は今までで最も大規模な数だったからだ。
それはシェルターに避難した誰もが思っていたこと、天井に設置されたスピーカーからもエリア壊滅を知らせる情報ばかり、訓練生達の不安は頂点まで達していた。
「先生、俺達も出撃させてください」
アルはしびれを切らして立ち上がった。初めは何事だ?というふうに見ていた他の訓練生も一斉に立ち上がった。
「駄目だ!君達はまだ訓練生だろ。第一君達が乗る戦闘機はどこにあるんだ」
「訓練機で出撃します。ミサイルは搭載されてなくても機関砲はあります。このままじゃ全てのエリアが壊滅しますよ」
先生も分かっていたのだろう。アルの言葉に対して言い返すことができなかった。
「私も彼と同意見です」
予想外の人物だった。ミカミ コウ、ジェフが愚痴をこぼしていたあの日本人だった。
「全世界の戦力を集結させたこの人工島を失えば地球は終わりです。機関砲が無くなれば機体をぶつけてでも敵を落とす覚悟です」
無表情だが目つきだけは鋭く、その顔には偽りの色は微塵もなかった。コウには間違いなくその覚悟があった。
先生もその覚悟と迫力におされ小さく頷いた。