リリーは一呼吸置いて、更に続けた。
「ロイに何かしらの才能があったとしても、それがその二人との戦いで開花する保証はどこにも無いはずです。無駄死にする可能性が極めて高いとは思いませんか?」
リリーの言葉に、部屋の中は一瞬、静まり返った。
…いいえ、開花する可能性があるのです。しかも、極めて高い確率で…。
ロイはその言葉に息を呑みながら、リリーにエリクシオンからの返事を聞かせた。
「そうですか。では、最初の質問に答えて下さい。ロイをエリグラム砦に向かわせる目的は何なんですか?」
ふふふ…。なるほど、その答えを私の口から言わせたい訳ですか…。いいでしょう。目的は一つ、ロイさんの才能を開花させる事、それのみです。
「何だって!?」
ロイはその答えに驚いて、声を上げた。
彼女の言う通り、彼等は他の騎士達に任せれば済む話です。…まあ、多少犠牲者は出るでしょうが…。ですが、この状況をおいて他に貴方の才能を目覚めさせる機会はありません。
「ち、ちょっと待った!じゃあ、…まさか…」
ロイは未だに腕にしがみついている、ミリスとエミリアを見て、真っ青になった。
「ロイ…エリクシオンが一枚上手だったみたいね…」