時と空の唄10-7

花神 ミライ  2008-12-11投稿
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話したい事……
そう、確かにある。

「俺の母さんは、殺されたんだ。十三年前、俺の目の前で。」
「……。」

分かってた。
いつか、こんな日が来ることを。
分かってる。
自分から話を振るなんて、どんなに愚かな事か。
それでも、やはり私は知ってるから。
何もかも、話す時が来たことを。

だから、シーラは語り始めた。十三年前の、『あの日』を。



「不老不死の体になって7年目の夏。
そこで、ある親子に出会ったわ。母親とその息子が、小さな小屋で幸せに暮らしていたの。
行く宛もなく、たださ迷い続けていた時、彼女は、行く場所はないのに時間ばかりがあるならウチにいらっしゃい、そう言ったわ。
驚いたけど、嬉しかった。何週間かお世話になった頃ある知らせを聞いたの。
カロウドという男が探し回っていると。
彼らに追いつかれるのは時間の問題だと知り、村を出る決意をした。でも、彼女は決して手を放してはくれなかった。
あなた一人くらい匿ってみせるわ、って笑うの。
だけど、現実は甘くはないのよね。」

知ってる。
シーラのリネア・トリスタに懐かしさをおぼえるのは錯覚ではないこと。
だけど、マザーに聞かされた『真実』は、心に灯った僅かなぬくもりを消し去ってしまった。


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