『あーあのバッグ欲しいな〜』 椎名結衣は隣にいる黒田慎也に声をかけた。 『おいおい、この間財布買ってやったばかりじゃないか』 慎也は顔をしかめて言った。なぜなら慎也は彼女と付き合ってからすでに10回以上はプレゼントをしているからだ。 『結衣、お前が今経済状況が悪いのはわかっているけど俺だってやばいんだよ。そんな煩悩捨てろ』 『煩悩て、意味わかんないなー。人間煩悩が無くなると絶滅するんだよ』『何で?そんなことないんじゃない』 『だって人を愛するっていう煩悩とかも無くなるじゃない』 『意味わかんない…。関係ないじゃん』 『あなたのことが…好き!』 『え〜!ますます意味わかんない』 『あり得ないという言葉はあり得ないって』 『それ何かの本の引用だろ』