ゴミ袋に物を突込んでいると、彼が帰って来て驚いた顔で「何やってるの?」と。
私は無言で、涙と鼻水を流しながらゴミ袋に物を詰め続ける。
彼に「もう止めろよ」と強く言われた時に、何かがブツッッと音を立てて切れた。
今まで言わないで、隠して来た言葉が小さく溢れた。
「…れて」
「何?聞えないよ」
「別れて。もう全部嫌。」
キャンキャン鳴くライをキッと睨む。何だか全て嫌になっていた。
「何で?」
怒りだろうか?驚きだろうか?彼が小さく震えている。
「もう限界なの。全部もう私には何もかも嫌。」
「出てくのか?」
「そうしたい」
スーツ姿のまま彼は私の側であぐらをかいて煙草を吹した。
「ライはどうすんだよ」
「アナタに任せる」
「勝手だな…少しは考えろ」
ええ。私はだいぶ前から考えていましたよ。そう言いたかったけど、言わなかった。
「いつ出てくんだよ」
「明後日には出てくから」
「分った…」
引き止めてくれない事に、少しだけ心が痛んだけど、これで楽になれると思うと気が少し緩んで、眠くなった。
そのまま、何も話さず彼は一人ソファーに座り何か考えていた。
私は一人ベットに横になり、キツく目を閉じた。
ライがパタパタと私と彼との間を行ったり来たりしている。
きっと犬にもこういう感じは分るんだろう。
勝手な事をしてるのは私なのに、何だか悲しくなってきて目を閉じたまま私は泣いた。